第45章

「どいてください、どいてくださーい!」

看護師がストレッチャーを押して駆け抜ける。寝かされている患者は全身が血まみれで、医師がその上に跨がり、必死に心臓マッサージを続けていた。

そのストレッチャーが、ちょうど大島莉理と田中辰哉の間をすり抜けていく。

大島莉理は反射的に一歩引いた。血に弱いのか、視界がぐらりと揺れる。あまりに凄惨な光景に思わず俯き、足早に病院を離れた。

田中辰哉は視界の端に、どこか見覚えのある影がかすめた気がして振り返る。だが、そこには誰もいない。

「田中社長、どうされました?」

田中辰哉は目を戻す。

「……何でもない」

病室では、阿部茜がまだ悔いの残る顔でぼん...

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